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箱根駅伝総評~駒澤大学

前回王者が初の屈辱

往路15位復路7位

総合13位駒澤大学
(予想1位・区間予想4区間的中→2区4区6区10区、)

区間、名前(学年)、区間タイム、区間順位、(総合順位)、トップとの差(シードラインとの差)
1区末松裕一(2年)1時間5分45秒区間19位(19)57秒差(23秒差)
2区宇賀地強(3年)1時間9分22秒区間6位(19→8)4分09秒差(-5秒差)
3区渡邉潤(2年)1時間7分12秒区間21位(8→17)6分31秒差(2分46秒差)
4区高橋徹(4年)57分48秒区間19位(17→18)8分59秒差(3分42秒差)
5区星創太(3年)1時間21分12秒区間7位区(18→15)7分55秒差(2分02秒差)

6区藤山修一(3年)1時間1分16秒区間16位(15→15)8分41秒差(2分58秒差)
7区我妻信洋(4年)1時間7分31秒区間19位(15→14)11分05秒差(4分22秒差)
8区高林祐介(3年)1時間6分27秒☆区間賞(14→14)10分38秒差(2分36秒差)
9区池田宗司(4年)1時間11分35秒区間3位(14→13)10分57秒差(1分59秒差)
10区太田行紀(4年)1時間12分12秒区間9位(13→13)11分06秒差(1分47秒差)

○総合13位 11時間20分20秒

【優秀選手】高林祐介…ようやく箱根で結果を
【喝!(激励の)】3年生以下の初出場者…強くなれ!

 東洋柏原の爆走、城西大の途中棄権、大東大の大健闘など、様々な波乱、予想外な展開が沢山あった今回の箱根駅伝だが、一番の波乱は何といっても駒大のシード落ちだろう。層が薄いという前もっての情報に加え、深津ケガという当日分かった情報二つあわせてもここまで酷いことになるとは、未だに持って信じられない。自分は上手い区間配置で総合優勝すると思ったが、一番の大外れ。深津欠場ということで区間予想も無茶苦茶に。まあ、よく4区間も当たっていたなと思うが…。
 どうしてここまで落ちたのか、ということを検証してみたい。



初の箱根出場者、玉砕
 誤算はもう最初からはじまっていた。1区の末松が区間19位と出遅れた。ちょっとムラがある選手だと思っていたが悪い方向に出てしまった。まだトップとは54秒差ではあったが、ここからもうすでに負のスパイラルは始まっていたようだ。2区宇賀地は9人抜きでエースの役割は果たしたようにみえるが、タイムは69分台であって決していいわけではない。駒大としてはここで早大に対してアドバンテージを取りたかったのだが、あまり差を詰めることができず傷口は広がった。そして3区で傷口から大出血が始まった。

 渡邉は序盤9位集団と一緒に走っていたが、10km手前で引き離されてからは、もう完全に自分を見失ったような走り。自分が挽回しなければというところで、思ったように走れずパニックになったような感じがする。いずれにせよ、ここで総合優勝の可能性はなくなった。4区に入っても悪い流れは止まらない。全く想定外の順位で受けた高橋も大苦戦。更に前との差は広がった。5区の星が意地の走りで3人抜きしたが、本人も納得できないであろうタイムだった。ただ、それでもシード権までは2分02秒にとどめ、まだ復路に望みはあると思われた。

 しかし、1日おいた復路でも流れを取り戻せなかった。6区藤山は自分で流れを引き寄せようとしたのか、最初の上りは区間一桁。しかし、後半でガス欠になってしまった。7区我妻は大八木監督から「15kmからが勝負」と言われていたが、その15kmからうまく走れなかったような感じ。前後を走っていた大学が区間20位以下で順位はあげたがシードラインとは4分22秒とシード権すらここで赤信号が灯ってしまった。



 ここまで箱根発出場者が7人中6人。その6人の区間順位は19、21、19、7、16、19。7は駅伝出場5回目の星なのでそれを除くと惨憺たる成績。経験が浅い上に、襷を貰った順位が悪く、どうやって走れば自分の力が出せるのか分からなかったのではないかと思われる。しかし、これほど経験が浅い選手を序盤から中盤に固める区間配置を取らざる終えなかったのは……。深津欠場の影響で、若い選手に序盤を任せなければ優勝ができないということだったのだろうが、残念ながら悪い方向に出てしまった。


最後で意地みせるが…
 最後の3区間は経験者。この3人のうち誰かを1人でも序盤に回していれば違っただろうが…。それはさておき、ここからはようやく本来の力を少しは発揮できたようだ。8区高林はこれまで20kmでちょっと結果を出せていなかったが、区間賞と素晴らしい走り。見た目で上をいっていた城西を交わしただけで、後は全くの一人旅の中なので評価できる。そういえば、どこかで集団で走るより一人でガンガン行くタイプという書き込みがあったが、その通りだった。まあ、しかし流れが悪い中、この走り。1人で2分近くシードラインとの差を詰めている。速さ以上に精神力がすごい。次期キャプテンというのも頷ける。走りで引っ張って駒大を立て直してほしいと思う。

 9区池田は暑さが懸念されたが、それはあまり関係ないような感じ。むしろ、先の高林の走りもあるので、区間賞じゃないのが不満な感じ。まあ、それでも区間3位で走ったので悪い走りではなかった。ただ、中盤以降10位を走っていたのが区間賞の中川(山学)、区間7位の笹谷(日大)だったので、思った程詰められず。やはりシードラインを走っている大学は本当に死に物狂いで走っている。いくら力のあるランナーとはいえ、後ろから追い上げるのはかなり厳しいのだなと痛感させられる結果だった。アンカーの太田は昨年ほどの走りはできず終戦。前年の優勝校が途中棄権以外でシード落ちするという初の屈辱を味わった。




『王者』だからこその苦悩
 深津がケガ(坐骨神経痛)していると分かったのは11月下旬であって、何も急なことではなかったはず。敵をくらますことと治る僅かな可能性も含めてエントリーはしていたが、もう深津はいないということでチーム内は分かっていたはずだ。ただ、1万m駒大記録保持者が抜けたというのは総合優勝を狙う(というか狙わなければいけなかった)駒大にとっては相当の痛手だった。

 もし、駒大が上位狙い、あわよくば優勝くらいの位置づけの大学であれば、目標をシード権に下方修正してしっかり戦うことができたと思うのだ。3区以降の失速も、優勝という事を考えるので空回りしたと思う。まずはシードと思っていれば、あそこまでおかしくはならなかったと思う。

 しかし、早くから3冠を公言(まあ出雲で敗れたがそれでも2位)しており、全日本で3連覇。箱根も前回に引き続き、当然優勝と少なくとも周りは箱根も優勝の期待は膨らんでいた。これまで上手くいっていたのだからという、油断もあったかもしれない。そういうことで優勝はかなり厳しいにも関わらず、往路に未知数の駅伝初出場者を3人使うという、博打のオーダーを組まざる終えなかった。そこに落とし穴があった。

 確かに潜在能力自体は7区までの選手はある。それにかけていたみたいだが、経験豊富な選手がいい流れで来ないと駒大といえども、それを発揮することは難しいのだ。何とかして優勝を狙えるオーダーを組もうとしたが、無理があった。でも、『王者』だからそうせざる終えなかった。ここに駒大の苦悩が見て取れる。

 また、今年度はずっといい流れで来ており、失敗という失敗がほとんどなかった。だから、失敗した際に立て直すというノウハウがいつになく欠けていたというのもあるだろう。ここまで全日本4区以外では区間5位以内という抜群の安定感を誇っていたが、裏を返せば失敗した時にどういうレースをするのかという部分が未知数ということ。しかも10何位での走りは考えもしなかったことだろう。これは自分の走りができなくても、仕方ないのかもしれない。そう考えると多少は今回のことは理解できるような気がする。(しかし、82回83回84回の優勝校が揃いも揃って予選行きとは…下克上当たり前になったもんだ)




来期への展望
 まあ、嘆いてばかりいても仕方ないので、次回の展望だ。
○卒業生出走メンバー
高橋徹4区19位・我妻信洋7区19位・池田宗司9区3位・太田行紀10区9位

○在校生出走メンバー
(末松裕一1区19位)・宇賀地強2区6位・渡邉潤3区21位・星創太5区7位・藤山修一6区16位・高林祐介8区1位

○在校生補欠メンバー
岩本雄樹・深津卓也・飯田明徳・藤原昌久・井上翔太

 まあ、やはり宇賀地、星、高林、深津の現3年生カルテットが中心だ。当然、2区5区9区あたりを担うのは当然のことだろう。それを岩本、井上、藤原あたりがどこまで追えるかというところだろう。またエントリーされていないが現1年の岡本や佐々木も楽しみな存在だそうだ。そして、新入生に高校駅伝1区1位2位の選手が入ってくるとか。そのまま即戦力になれば、かなり強力だ。

 上野-宇賀地-藤原-井上-星-藤山-飯田-千葉-深津-高林…こんな感じで組むことができれば、結構いけそうな気はするのだが。まあ、まだ相変わらず上位の選手と下位の選手に格差を感じてしまうので、やはり10番手前後の底上げが上位進出には必要不可欠だ。それができれば、神大しかない予選会からの優勝も不可能ではないはず。来期、駒大がどこまでリベンジをすることができるか注目である。

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