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箱根駅伝総評~東京農業大学

最後の最後でこぼれ落ちた13年ぶりのシード権

往路12位復路10位
総合12位東京農業大学
(予想:往路20位復路16位総合19位・区間予想5区間的中→1区2区3区9区10区)

 5区貝塚選手、7区清水和選手(予想では交代した椎谷がブレーキ)には謝らなければいけない結果となりました。この2人がうまく走ったので終盤までシード権争いをしましたので・・・。
 
区間、名前(学年)、区間タイム、区間順位、(総合順位)、トップとの差(シードラインとの差)
1区松原健太(1年)1時間5分24秒区間14位(14)36秒差
2区外丸和輝(3年)1時間8分30秒区間4位(14→4)2分56秒差
3区田村英晃(2年)1時間4分54秒区間14位(4→7)3分00秒差
4区瀬山直人(1年)58分26秒区間22位(7→11)6分06秒差
5区貝塚信洋(2年)1時間22分42秒区間14位(11→12)6分32秒差(39秒差)

6区木下潤哉(1年)1時間27秒区間11位(12→13)6分29秒差(46秒差)
7区清水和朗(3年)1時間5分43秒区間6位(13→12)7分05秒差(22秒差)
8区園田稔(4年)1時間7分09秒区間3位(12→7)7分20秒差(-1分21秒差)
9区谷一(4年)1時間12分29秒区間11位(7→7)8分33秒差(-1分42秒差)
10区倉持貴充(4年)1時間13分33秒区間17位(7→12)10分03秒差(44秒差)


○総合12位 11時間19分17秒

【優秀選手】外丸和輝…現3年生日本人最速ランナー
【敢闘賞】園田稔…箱根予選不出場も5人抜きの激走
【殊勝賞】山のメンバー…ここが粘ったから最後までシード争いできた
【喝】外丸以外の往路の平地メンバー…外丸の走りをまたも活かせず

 ゴールまで残り3km、彼は喘いでいた。体は鉛のように重い、息はあがっている、口もあいている、眉間にシワも寄っている、フォームも完全に崩れている。先ほどまで一緒に走っていたチームは遠くかすんで見える。主将としてチームから信頼されて任されたアンカー。順調に7位争いを繰り広げていたが終盤まさかの失速。それでもこの地点では総合10位。このまま順位を保てば13年ぶりのシード権獲得となる。体は限界にきていたが主将の責任感で懸命に脚を前に進める。

 その時、バイクカメラが、おそらく気付いていないだろう彼の横についた。それからそれほど間もなかった。彼の視界に突如、黄色のシャツと緑のランパンという鮮やかなユニフォームが飛び込んできた。そのまま視界から徐々に小さくなる。それは総合11位、つまりシード権外へ順位を落としたことになる。彼は抜き返そうと必死にもがいた。動かない体を無理矢理動かそうとした。しかし、抜いた相手は近づいてこない。相手の方が表情もフォームも歩幅も何もかも上だった。抵抗することさえもできず、そのまま相手は遠ざかっていた。それと同時に東京農業大学のシード権がどんどん遠ざかっていた―――



外丸の激走も攻めきれない序盤
 東京農業大学はエース外丸を中心に、近年になく戦力が充実しており、久々にシード権獲得のチャンスであった。ただ、序盤は今一つという感じであった。1区を任されたのは1年生の松原。直前の1万m記録会で、松原は外丸に最後まで食いついた。その勢いを買っての起用だっただろう。しかし、終盤のペースアップに対応できずに区間14位。20kmにはまだもう一つ対応しきれていないという感じだった。

 まあ、それでもスローペースの御蔭でそれほど前と離れたわけではない。外丸で取り戻すには充分の差であった。8.3kmの横浜駅前までに3位争いに食い込む走り。その後一時は2位にあがるまでの激走をみせ、2位と僅差の4位で中継。特にダニエルや木原についていったところにエースとしての執念があったように思う。しかもまだ3年生なので、来年はもっと楽しみである。とにかくこの地点では非常にいい感じであった。

 しかし、前回の箱根や全日本同様、この流れを活かしきれない展開となった。3区の田村は走り始めてすぐに形成された3位集団の牽制から動けず、区間14位の走りで総合7位に。4区瀬山は序盤は8人による3位争いから真っ先に脱落。そのまま後続にも交わされブービーの区間22位で11位にまで転落。せっかくいい流れができても活かす事ができない点は今回も改善されなかった。このあたりはどうも直前に記録会に出たのは、力のある外丸以外は悪い方向に出てしまったようである。



細谷欠場のピンチも耐えた下級生
 さて、予選経由のチームが特に問題になるのは山対策である。箱根予選の準備に忙しく、対策が遅れてしまうというのがよくあるパターン。しかも東農大は前回5区でシード権争いから早くも脱落してしまった。また前回の6区細谷が欠場してしまった。おそらく外丸の流れに乗って山へは最低でも一桁順位できて、山は多少順位落としても耐えて、復路でまた反撃だっただろうから、山で大きく後退してしまう、そんな不安もよぎった。

 しかし、起用された2年生と1年生が懸命に10位ラインに執念をみせた。まず5区を任された貝塚はほぼ同時に走り出した中大大石とうまく競り合いながら順位ダウンを一つにとどめた。2年生ということを考えると、今後も計算できるかもしれない。そして6区の1年生木下は区間11位ながら1時間27秒の好走をみせ傷口を最小限に留めた。タイムも非常に良く、細谷が来年出場できないかもしれない。総合順位は山で2つ落としたものの、10位のチームとの差は46秒。7区以降の人材を考えると充分射程圏内。結果的にはシード権を獲得できなかったが、最後まできわどくシード権争いを繰り広げることができたのは彼らの粘りの御蔭だと思っている。



怒涛の追い上げもラスト5kmに落とし穴
 二次エントリーの際、7区清水というのを観て一部で波紋を呼んでいた。前回1区で主力級の清水が繋ぎの7区に置かれたということは、当て馬で当日椎谷あたりと変更されるのではないかと思われた。と思ったらどうやら細谷が欠場した6区のフォローというような感じだったようだ(そういえば、冬のロードシーズンにばんばん出ている椎谷はなぜ欠場した??)。松原の成長もあったし、そういう役目になったのだろう。そしてその作戦は悪くなかった。清水は10位を捕らえることはできなかったが、区間6位の走りで上昇ムードを作った。そして8区でサプライズが起こった。

 8区に起用された園田は高校時代はそこそこだったが、大学で伸び悩み、今回も箱根予選会不出場、全日本にはアンカーを任されたが区間二桁だった選手。大きな期待はしていなかった。僕としては前の集団が牽制してくれれば助かるかなという感じでみていた。ところが序盤に9位集団に追いつくと、遊行寺の坂道でスパート。そのまま前を走る2チームを交わして、8区ではおそらく最高となる5人抜きの快走。一気に7位に浮上し、東農大復活に華を添えた………かに思えたのだが…。

 作戦に間違いは無かった。箱根予選で好走した谷、倉持と4年生を長丁場の9区10区に、しかも主将をアンカーに置くというのは私も予想する際、考えていた。9区谷は区間11位ながら順位はキープ。11位のチームとのタイム差は開き、シード権獲得は間違いないと思ったが、最後まで何が起こるかわからないのが箱根駅伝である。終盤、倉持が失速したのはおそらく7位集団を終始引っ張っていたことで力を使ってしまったのだろうが、これは致し方ない。倉持も赤峰(山学)、斉藤(中大)のハーフ公認タイムは65分台だが、倉持の箱根予選のタイムを換算すると64分前半となる。向かい風だし風除けになってしまったのは必然だったのかもしれない。更に疲れてきたところに、後ろから追いついてきた吉田(日大)に一気にペースアップさせられた。これが堪えたのかもしれない。

 とにもかくにも、倉持はラスト5kmで大失速。残り2kmで選抜に交わされ11位へ、ゴール直前に国士舘にも交わされて、総合12位でのゴールとなった。しかしこれは倉持を責めるべきでないだろう。この時の東京農業の中ではキャプテン以外にアンカーは考えられない。最後はキャプテンにというのはチーム全員で思ったはず。キャプテンでダメだったのだから、今回の東京農業はどう区間配置をいじくってもシード権は獲得できなかった(←そういえば、くしくも農大の予想の時にこれ書いたんだよなぁ、オレ…)。区間順位も区間一桁は3つだけで、むしろ9区で7位にいたことが不思議なくらいだった。シード権を獲得できるチームではなかったのだ。次回こそオール区間一桁を取るくらいの活躍をし、完全復活をしてほしいところである。



おまけ・中大とのデットヒート
 3秒→-11秒→1秒→-4秒→4秒→46秒→20秒→-41秒→0秒→44秒………これは中大と東農大の各中継所での差である。もう散々既出しているので今更感はあるが、実は最初から最後まで、抜きつ抜かれつはあっても中大とは差が1分以上開かないという大接戦だったのだ。特に往路はすごく最大で2区の11秒という状態だった。また復路でもアンカーに渡る地点で同時という凄まじい接線だった。

 何度か危機(?)はあった。まず4区で瀬山が区間22位と大失速した。相手は梁瀬ということを考えると普通に考えれば、デットヒートも何もないのだが、なんと梁瀬も区間23位という成績。中大や農大のファンもこのあたりから意識しだしただろう。次に訪れたピンチは6区。中大の山下が59分台の快走をみせた。細谷という経験者を欠いた農大とは一気に開くかと思われた。総合順位もここが最大の3差となっていたのだ。しかし代打の木下が粘って46秒差に食い止めた。区間順位で一番差が開いたのは8区。農大が3位、中大が14位というものだったのだが、ここで6区の貯金が利き1分以上とはならなかった。またアンカーでも倉持が後半引き離されたが、斉藤も最後にちょっと失速しており、その御蔭で1分とは開かなかったのだ。

 なんとまあ、大接戦の戦国駅伝らしい珍事であるが、更にこの出来事を際立たせるのは、片方がシード権を獲得できて、片方が落としたことである。往路終了地点で気付いていたファンが某掲示板に「一緒にシード権をとりましょう」と書いていたのが何ともいえない。今の箱根駅伝の恐ろしさを象徴する出来事ですので、書かせてもらいました。



来期への展望
 いつまでも嘆いているわけにはいかないので来期の展望。 
○卒業生出走メンバー
園田稔8区3位・谷一9区11位・倉持貴充10区17位

○在校生出走メンバー
松原健太1区14位・外丸和輝2区5位・田村英晃3区14位・瀬山直人4区22位・貝塚信洋5区14位・木下潤哉6区11位・清水和朗7区6位

○在校生補欠メンバー
細谷裕二・高山昇太・保坂優介・川内涼

 うん、結構強いんでないかい。外丸、清水の主力は来年が最終学年でパワーアップしてくるだろうし、成績はともかく1年生が3人も箱根を経験できたことはいい材料である。後、山もいるので調整をミスらなければシード権獲得有力校となると思う。(勿論、予選通過してからの話だが)

 また補欠メンバーにも今回見てみたかった選手が沢山いますので、選手層も問題ないだろう。今回の悔しさを糧にどこまで成長できるか楽しみである。


箱根駅伝総評~中央大学

四半世紀連続シードも後が無くなった

往路11位復路6位
総合10位中央大学
(予想:往路5位復路15位総合7位・区間予想4区間的中→1区2区5区9区)

 なんか予想とは反対の往復順位。何か往路順位と復路順位が逆になってしまうというパターンがかなり多い(汗) 区間予想は可も無く不可もなく…6区山下を当てられなかったのが悔しい。 
 
区間、名前(学年)、区間タイム、区間順位、(総合順位)、トップとの差(シードラインとの差)
1区山本庸平(3年)1時間5分21秒区間13位(13)33秒差
2区徳地悠一(4年)1時間8分44秒区間5位(13→5)3分07秒差
3区森誠則(4年)1時間4分42秒区間7位(5→6)2分59秒差
4区梁瀬峰史(3年)58分31秒区間23位(6→12)6分10秒差
5区大石港与(2年)1時間22分34秒区間12位(12→11)6分28秒差(35秒差)

6区山下隆盛(2年)59分45秒区間5位(11→10)5分43秒差(-16秒差)
7区山本武史(4年)1時間6分09秒区間7位(10→11)6分45秒差(2秒差)
8区小柳俊介(1年)1時間8分10秒区間14位(11→8)8分01秒差(40秒差)
9区平川信彦(4年)1時間11分48秒区間4位(8→7)8分33秒差(1分42秒差)
10区齋藤勇人(2年)1時間12分49秒区間10位(7→10)9分19秒差(34秒差)


○総合10位 11時間18分33秒

【優秀選手】徳地悠一…エースの走り!
【殊勝賞】山下隆盛、他4年生…不安定だった山下が快走&区間一桁で粘った4年生
【喝】山本庸平、梁瀬峰史の3年生…ここの不振がなければ上位争いできた

 序盤は好位置につけるも結局今回もシード権争いに巻き込まれた中央大学。しかも今回はついに後が無い10位まで転落。来年は本当に

ヤバイのではないかと噂されているが、果たしてどうなのか。振り返りたい。

4年生奮起もちぐはぐな往路
 往路は名前を見た限りは強いオーダーだった。1区2区に1万28分台の山本と徳地を並べて、前回ブレーキした5区は今回は予定通り大石を投入。主力級の梁瀬が最短区間の4区に回ったのは、出雲全日本同様の作戦だと思っていたので往路はなかなかやるとみていた。しかし、実際は伝統校らしからぬちぐはぐとした区間順位となってしまった。

 1区山本はやや期待外れの区間13位。昨年も同様の展開で区間5位でトップと秒差だった事を考えるとブレーキといってもいいだろう。しかも1区出走者で上級生で28分台は彼一人だったので頂けない。どうやら試合直前に風邪を引いてしまったようだが、来年の2区候補の一人としてみると不合格の走りである。というか調整自体がね…。2区徳地が8人抜きのさすがの走りで総合5位まで浮上してくるが、山本がせめて前回並みならこの地点で総合2位の可能性もあったので微妙に影響を与えている。その徳地はキャプテンらしいしっかりした走りで68分台。彼が外したのは3年の出雲くらいしか記憶がない。それ程、安定した走りをみせてくれる選手だ。実業団に進まないのが惜しいが、見事なラストラン(都道府県はあったが)であった。

 3区はこれまた4年生の森。彼もまたさすが4年生という走りでまとめてきた。結局1万のベストは在学中更新できなかったようだが、過去の大学駅伝の中で一番良い走りをしたと思う。前半飛ばしたので後半集団の中で埋もれることになってしまったが、安定していたと思う。この地点で総合3位と秒差。昨年、上野が居た時とさほど変わっているわけではないので、彼の穴はほぼ埋まった感じだったと思う。

 問題はこの後の4区である。出雲5区2位、全日本3区区間賞を獲得している梁瀬がなんと区間最下位の大ブレーキ。これまた脚を痛めていたということだが、それを差し引いてもこれは痛すぎるブレーキだ。この地点で総合3位は狙えるはずだったチームはあっという間にシード権へと目標を軌道修正しなければならなくなってしまった。山本、梁瀬3年生2人がこの成績では非常にまずいというべきだろう。てか成績云々の前に調整の問題だろう。特に梁瀬は箱根駅伝は全部区間15位以下。突発的な区間変更があった時を考慮しても、ちょっとまずいだろう。5区大石は何とか82分台でまとめたが主力をだいぶ使った往路で11位という成績だった。
 


山下奮起の60分切り&山本武の粘走
 復路の出だしは、非常に不安…というと山下選手に失礼なのだが、昨年の箱根から至近の記録会までの成績をみるとどのくらい走れるのか未知数であった。特に全日本でのブレーキが頭に焼き付いてしまっていたので、何とか無難に繋いでくれ…という思いで見ていたのだが、いやはや本当に失礼であった。

 序盤から快調なペースで刻んで60分切りの快走。今年は例年以上にレベルが高かったため区間順位は5位にとどまったが、ここで総合10位に浮上。7区以降のメンバーを考えると、追い上げる展開にならなかったのは大変助かった。ここからずっとシードラインときわどい戦いになったのだが、正直追う展開になっていたら非常に厳しいことになったと思う。仮に山下が1分遅い60分45秒(これでも初挑戦にしては悪くない)で走破だと、総合13位で東農大と20秒近く後ろ。東農大の7区の選手が区間6位で走っているので、追い上げるのは非常にシビアなものになっていたと思う。シード権獲得に大きく貢献した走りといえるだろう。

 といっても、シード権を獲得できるかといわれるとここでもまだ厳しいと思っていた。ハーフ64分台の辻、山脇と出雲全日本を走った棟方が外れ、65分台の山本武、小柳、斉藤を起用せざる終えない状況となっていたのだ。彼らが一体どれだけ粘れるか、非常に心配されたが、結果的に彼らが何とか踏ん張ってくれたという感じだった。

 特に突出すべきは7区山本武の走りだろう。彼の前後にいたのはハーフ64分台の力を持つ丸林(日大)と梶原(松蔭・選抜)の2人。しかし、懸命に彼らに喰らい付き区間7位の粘走。総合順位は11位に落としたが、前とは秒差。目立ちはしなかったが、ラストランで最初で最後の箱根路で確かに光る走りをしたと思う。

 
伝統校に神風!? 耐え抜いた8区以降
 それでも予断を許さない状況。しかし、最後は結局今回も中大にシード権は転がり込んできた。何か今回は本当に中大に神風が吹いたという印象を受けた。

 まず8区の小柳が区間14位なのに順位を11位から8位に引き上げているのだ。数値上矛盾している。一緒に走り出した井上(日大)はハーフ64分台後半だが、どっちかというと短い距離向きの選手。失敗できない状況と言うこともあり自然と牽制することとなる。1年生の小柳には丁度いいペースだったのではないだろうか。そしてすぐ前を走っていた3チームが区間20位、22位、23位。そして区間一桁で追い上げる国士館、駒大は遥か後方。東農大には抜かれたが、日大に競り勝ち8位に浮上ということとなった。

 この頑張りを4年生平川が応えた。3年生からずっとスタミナ区間を走ってきた平川が、過去の駅伝の中で最高の走りをみせた。過去最高となる区間4位で更に一つ順位をあげたのだ。彼の今までの経験が全て活きたといえる。ただ、もう一つ着目したいのがほぼ総合11位を

ずっと走っていたチームが区間15位。シードラインとの貯金は一気に開き1分40秒に拡大した。また中大にいいようにレース展開が動いた。

 そしてアンカーの斉藤にも神風が吹いた。東農大、山学と7位争いをしていたのだが、どうにも牽制してしまい、ペース上がらない。それと重なり11位のチームが急追してくる嫌な展開となった。しかし、そのまずい状況を打破する出来事が起きた。10位を走っていた吉田(日大)が7位集団に追いつき、そのまま引っ張り出したのだ。このペースアップは非常に利いた。選抜には追いつかれたものの、国士舘の追撃は交わせるというペースであった。斉藤は最後はバテて総合10位まで転落してしまったものの、国士舘を僅か34秒上回り、25年ぶりのシード権陥落の危機を免れた。

 何だろう。勿論、各選手頑張ったのだが、7区以降はずっと中大にとって恵まれた展開になった。名門としては総合10位はここ四半世紀で最低の成績で惨敗に近いだろう。それでも守らなければならないものだけは必ず守り通す何かが、最多出場を誇る古豪にあるようである。戦力的には同等、或いは上回っているようにみえる、新興校や何年ぶりの復活を誓う大学とは、何か隔たりがあるということなのだろう。積み重ねてきたノウハウとか、今までの重み、業……様々なものが味方しての結果であると思う。

 ただ、来年に向けては不安要素だらけといってもいい状況である。

来期への展望
 
○卒業生出走メンバー
徳地悠一2区5位・森誠則3区7位・山本武史7区7位・平川信彦9区4位

○在校生出走メンバー
山本庸平1区13位・梁瀬峰史4区23位・大石港与5区12位・山下隆盛6区5位・小柳俊介8区14位・齋藤勇人10区10位

○在校生補欠メンバー
棟方雄己・辻幸佑・森山昇人・市塚遊

 5.75、12.83…最初の数値は4年生の平均区間順位、2つ目は在校生の平均区間順位だ。つまり4年生の頑張りが非常に利いた結果ということなのだ。その彼らがごっそりいなくなるのだ。すると区間一桁は6区の山下のみ。平地に自信を持って送り込める選手が現時点ではいないことになる。勿論、山本、梁瀬や今回出場できなかった棟方、辻はある程度やれる力はあるのだろうが、エース区間を果たして満を持して送り込めるだろうか。そうとは思えない。

 というわけで来期は浦田監督の正念場となるだろう。今年の4年生は当たり年だったため、全体的に今回は抜ける穴が多いので、どこの大学も不安要素は沢山あるのだが、逆に言えばどこがくるかますます予想がつかないというところである。中大が生き残ることができるかどうか注目である。


箱根駅伝総評~日本大学

 しばらく更新がストップして申し訳ありません。理由として…

①最近ずっとやや疲れ気味なこと
②主な駅伝が終わりモチベーション切れ
③とあるPCゲームやアニメにどっぷりはまったこと

これらが原因で全く更新する気が起きませんでした。すみません。

今後はとりあえず2月中に全大学の箱根駅伝の評論を終え、3月は1月以降のロード大会をまとめたいと思います。
また、③についても少し書くかもしれません。4月からはどうせネタ切れすることが目に見えていますので…。




とりあえず何とかまずは残っている大学を片付けます。

ダニエル頼り否めず

往路8復路8位
総合7位日本大学
(予想:往路1位復路17位総合4位・区間予想4区間的中→1区2区3区5区)

 さすがに出雲のようにうまくいかなかったかw。ダニエル以外色々と無茶苦茶な予想だった。区間予想としては丸林と笹谷を逆にしたのが…。素直に9区笹谷にすればよかったと後悔しきりである。
 
 
区間、名前(学年)、区間タイム、区間順位、(総合順位)、トップとの差(シードラインとの差)
1区堂本尚寛(1年)1時間6分34秒区間22位(22)1分46秒差
2区G・ダニエル(3年)1時間7分04秒区間2位(22→2)2分40秒差
3区谷口恭悠(3年)1時間5分06秒区間16位(2→3)2分56秒差
4区岡村悠平(1年)57分41秒区間18位(3→10)5分17秒差
5区阿部豊幸(4年)1時間22分33秒区間11位(10→8)5分34秒差(-54秒差)

6区池谷健太郎(2年)1時間00分23秒区間9位(8→9)5分27秒差(-39秒差)
7区丸林祐樹(3年)1時間6分23秒区間13位(9→10)6分43秒差(-2秒差)
8区井上陽介(3年)1時間8分13秒区間15位(10→10)8分02秒差(-39秒差)
9区笹谷拓磨(4年)1時間12分12秒区間10位(10→10)8分58秒差(-1分17秒差)
10区吉田和矢(3年)1時間12分05秒区間7位(10→7)9分00秒差(-53秒差)


○総合7位 11時間18分14秒

【敢闘賞】G・ダニエル…怒濤の20人抜き!
【殊勝賞】吉田和矢…シード権獲得に大きく貢献
【(特に)喝】谷口恭悠、丸林祐樹…来年チームを引っ張る存在の選手が不甲斐ない走り

 2年連続してシード権争いの真っ只中に身を投じることになってしまった日本大学。辛くも今回もシード権を獲得したが、正直なところ内容は昨年とあまり変わらない。来期こそもう一度浮上できるかどうか、振り返りながらみていきたい。


ダニエル脅威の20人抜きの裏には…
 今回の日大の最大の見せ場となったのは、戦前の予想通り2区の留学生ダニエルの走りだった。襷をもらった位置はなんとブービーの22位。苦しい位置だし、ライバルと見られていたモグス(山学)は遥か前方という状態だった。。

 しかし、トップとは1分46秒差。モグス以外は射程圏内だった。スタート直後からエンジン全開。横浜駅前までに7人を抜き15位に浮上。権太坂ではさらに7人抜いて8位に浮上。そして最後はなんと2位を走っていた木原(中学)まで捕らえたのだ。木原も日本人学生長距離のエースらしく何度もダニエルを抜き返す粘りをみせたが、最後は振り切って中継所に飛び込んだ。モグスには1分負けた区間2位だが、20人抜きは今後記念大会での増枠が無い限りはほぼ不可能な記録である。

 この記録は素晴らしいのだが、ゴボウ抜きが生まれるということはその前の区間が非常に悪かったとい
うことになる。その前の区間・1区を走ったのは1年生堂本。出雲、全日本ではまずまずの結果を残していた彼だったが、箱根を前にして脚を痛めてしまった。本来なら外すべきなのだろうが、日大は決して層の厚いチームではない。掘込HCも悩んだ末、出場させるという決断をしたようだが、終盤のペースアップで全く動くことができなかった。

 昨年も日大は1区で19位と出遅れた。この時もダニエルは15人抜きを果たしており、帳消しにしたのだが、本来はダニエルで抜け出すのが日大の作戦だったはずだ。観戦としてはゴボウ抜きは確かに面白いのだが、裏にはこういうマイナス要素もあるのである。



日本人ランナー、流れを作れず
 今回、ダニエルを除けば区間一桁は僅かに2つ。前回も同様の状況だったので、成長は無しということになる。はっきりいって、日本人ランナー全員に喝を入れたいところなのだが、特に谷口と丸林に入れさせてもらった。谷口はダニエルの後、つまり3区を任された選手。今季の成績からして日大日本人エースといってもいい存在。ところが消極的な走りで区間16位。竹澤(早大)に抜かれただけで総合では3位のものの、次々と追いつかれたランナーについていくだけというレースだった。元々長い距離が強いタイプではないのだが、これはちょっと想定外であった。

 4区岡村はハーフの成績からすると区間18位は仕方ないか。次の5区阿部もいい走りとまではいかない。順位は2つあげたものの、区間11位。3年連続安定した走りともいえなくもないが、戦前の掘込HCの言葉などからもう少し期待していた。結局往路はダニエルのみ区間一桁。ダニエルだけで何とか往路8位を確保したという感じだった。

 復路6区池谷が区間9位でやっと区間一桁。順位を下げたのは板垣(帝京)、中村(明大)、佐藤(大東大)あたりが爆走したから。タイム的には60分前半でまずまず。下級生から6区適任者が出たのは来年に向けて好材料だろう。しかし、7区からはシード権争いの渦中に身をおくことになる。7区は上記にあげた丸林だ。これまで駅伝の結果が持ちタイムに伴わないことが多かった丸林だが、今回も伴っているとはいえない。前半から無謀な飛び出しをしなかったのは成長した点だが、区間13位で持ちタイム上では下回る梶原(選抜)、山本(中大)に追いつかれてしまうという走りでは及第点は出せないだろう。

 谷口、丸林は来期4年生でチームを引っ張る存在。そんな選手がこの成績では来年の日大もシード権争いをするチーム。ダニエルがいなければどうなっていたのかということを考えずにはおれない結果だろう。



アンカー吉田が殊勝の走り
 8区井上はスピードランナーということを考えれば区間15位は及第点か。周りも牽制しており、実力を考えると無理な走りはできない状況だし、こんなものだろう。9区笹谷は一時箱根絶望かと思われる故障をしていたが、よく間に合わせた。さすが箱根男である。勿論、万全ではなく、解説者にも走りがおかしいのを指摘されていたが、それでも区間10位と粘走をみせた。ここでもボーダーラインをキープして、なおかつ11位との差は広げた。苦しみながらも主将らしい走りはみせた。(しかし7区からずっと総合10位でボーダーラインを割らないのは伝統校のなせる業なのだろうか)

 そしてアンカーは吉田。上尾で好走はみせたものの、駅伝初出場。後ろの大学も後が無い状況でどんどん攻めてくるのは当然。少しでもブレーキしてしまったらあっという間に圏外に弾き飛ばされてしまうところである。しかし、ここで吉田がいい走りをみせた。ほどよいペースで入って、牽制している7位集団をジリジリと追い上げる。そして14km過ぎに追いつくと、ここで7位集団の先頭に立って引っ張り始めた。向かい風が吹いていたし、今まで追ってきていたので後ろにつくというのがセオリーなのだが、そうしなかった。後ろの11位のグループが急追してきていたので、逃げるためだった。この判断は功を奏し、それ以上差を詰めさせなかった。ここで牽制していれば、大混戦の中、シード権を獲得できたかどうかは定かではない。彼の走りの御蔭で復路も耐え抜いた感じだった。



 にしても、やはりダニエルがいなかったら話にならなかったような結果だ。終盤の区間は頑張ったものの、彼がいなければ間違いなくシード権は取れなかったとみる。往路で戦える日本人ランナーがいなかったという感じだろう。抜けた4年生も少ない方で、少なくともシード権争いからは脱しないといけないだろう。総合順位自体はあげたものの、成長度はそう考えるとマイナスとみるべきかもしれない。




来期への展望
 では来期へ向けての展望である。
○卒業生出走メンバー
阿部豊幸5区11位、笹谷拓磨9区10位

○在校生出走メンバー
堂本尚寛1区22位、G・ダニエル2区2位、谷口恭悠3区16位、岡村悠平4区18位、池谷健太郎6区9位、丸林祐樹7区13位、井上陽介8区15位、吉田和矢10区7位

○在校生補欠メンバー
延壽寺博亮、高月雄人、笹崎慎一、和田朋之、山崎大直、山下尭哉

 なんと4年生はたった2人。まあ柱という存在とはいえ、これは大きなアドバンテージだろう。延壽寺や中原まで含めると箱根経験者は10人となる。更に1万29分前半の高月や現1年生にも楽しみな選手はいる。順調に行けば来年は大きく浮上できるはずだ。

 後は谷口、丸林、堂本あたりが復調できるかどうか。彼らが往路や9区などできっちり走らなければ、また出雲だけのチームとなってしまうだろう。まあ、掘込HCもそろそろ慣れてくるだろうし、期待したいチームである。

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