2009/01/04
箱根駅伝総評~東洋大学
5区で爆発!復路はクレバーな走りで箱根初制覇!
往路1位復路1位
(予想6位・区間予想3区間的中→1区5区9区、)
区間、名前(学年)、区間タイム、区間順位、(総合順位)、トップとの差
1区若松儀裕(4年)1時間5分06秒区間8位(8)18秒差
2区山本浩之(4年)1時間10分54秒区間17位(8→14)5分02秒差
3区大西智也(4年)1時間3分21秒区間3位(14→9)3分33秒差
4区宇野博之(1年)56分45秒区間9位(9→9)4分58秒差
5区柏原竜二(1年)1時間17分18秒☆区間賞(★区間新)(9→1)-22秒差
6区富永光(2年)1時間00分48秒区間12位(1→2)18秒差
7区飛坂篤恭(4年)1時間5分01秒☆区間賞(2→2)12秒差
8区千葉優(2年)1時間6分42秒区間2位(2→1)-45秒差
9区大津翔吾(2年)1時間11分16秒区間2位(1→1)-1分26秒差
10区高見諒(2年)1時間12分03秒区間6位(1→1)-41秒差
○総合1位 11時間9分14秒
【最優秀選手】柏原竜二…文句なしでしょう
【技能賞】大津翔吾を初めとする復路の皆さん…格上の早大に対して上手い試合運び
【監督賞】佐藤監督代行…アクシデントに動じずチームをまとめあげた
今大会のMVP・柏原竜二
いや~、何と言っても柏原に尽きるでしょう。今大会で区間新4つが出ましたが、インパクトの度合いはずば抜けていましたね。当面破られないと思われていた今井正人(順大OB)の記録をなんと47秒も更新。しかもまだ1年生ということで恐ろしささえ感じました。
今回柏原選手が5区挑戦するということについて様々な予想が飛び交いました。柏原選手といえば、前半からぶっ飛ばして後半粘りに粘るレースをすることで有名。その走法で春はインカレ、秋は出雲、全日本で成功を収めました。しかし、天下の瞼・箱根山には最後まで持たないのではないかという声が沢山ありました。最初5kmの平地からぶっ飛ばして、登りの終盤からペースが落ち、最後の下りでボロボロになるのではないかと……。一応私は期待を込めて区間賞予想はしていましたが、半信半疑、区間新はとても…と思っておりました。しかし、実際はトップとの差4分58秒をひっくり返して往路優勝。柏原選手自身でないと塗り替えることは不可能ではないかと思える大記録を撃ちたてました。見事です。
正直、大西選手が2区回避した時点で優勝争いすることはないだろうと思っていました。実際、4区までは自分の想定よりやや上かなという感じだったのですが、柏原選手の爆走で全部流れに乗りましたね。
勿論、1区から4区の選手が粘ったのも大きかったです。1区若松選手は大きな大会は前回の箱根以来ながら区間一桁。2区山本選手は70分台でまとめ、代役を務め、3区大西選手は万全とは言えない調子ながら、竹澤(早大)、佐藤(東海大)に負けただけ。4区宇野選手も1年生らしく積極的な走りで順位を保ちました。それがあったからこそ、あったからこそ何ですが…柏原選手に全部持ってかれてしまいましたね。
下りが少し苦手なだけなので、そこを克服すれば76分台の不滅の記録も可能だろう。ただ、今井さんが言っておられたように、山登りは経験がマイナスに出やすく、何も知らない初挑戦の方が結果が出る。今井さん自身も2年生の時が一番いい走りができたようだが、言われてみればそんな気がする。この点が出なければ、来年以降更に記録更新の期待もできると思う。
監督の指示を忠実に守った復路の皆さん
勿論、総合優勝を果たしたのは柏原選手だけのお蔭ではない。力が上の早大の選手相手に自分の力を出し切った復路の皆さんの活躍もすごかった。早大と東洋大の復路の各選手のタイムを比べると、最初の数キロのタイムは全て早大が上回っているのである。早大がまずは攻めていっているのだ。しかし東洋はそれを徒に追わず、自分のペースを守ることを徹していた。そして早大が疲れてくることに一気にペースをあげて早大を突き放したのだ。その顕著な例が皆さんもあげておられるように9区大津選手の走り。この時は早大朝日に対して48秒のアドバンテージをもらってスタートした。スタート直後朝日が猛追。下りということもあって最初の1kmを2分43秒で突っ込んだ。対して大津は2分57秒と周囲を心配させる程ゆったりした入り。当然差はつまって、5km過ぎにはすでに5秒くらいの差まで迫ってきた。これは一旦追いつかれるだろうと誰もが思った。しかし、これは作戦。ギリギリまで朝日をひきつけておいて絶妙のタイミングでスパート。これに朝日は全く対応できず、中継所までに1分26秒まで差はついた。これでほぼ優勝は決定した。
その他、早大の6区加藤に抜かれても気にしなかった富永。先行する7区八木8区中島が飛ばしても、徐々に追い上げた飛坂、千葉両選手も素晴らしかった。そして、高見選手も無理のないペースを守って大手町に一番最初に飛び込んだ。勿論、これは全て佐藤代行監督の指示で早大に揺さぶりをかけようというものだったのだが、それを忠実に守りきっちり走りきった皆さんが全員技能賞ということでいいでしょう。
3/19追記
チームをまとめた佐藤監督代行
後、もう一つ付け加えるとするとチームをまとめあげた佐藤監督代行だろう。12月初旬におきたアクシデントで優勝はないとみていた。実際、グラウンドで9人しか練習に出れない日もあったそうだが、そこからよくチームを立て直したと思う。川嶋前監督も本当に喜んでいると思う。本当に幸せでしょう。
何はともあれ、初出場から67回目での初優勝おめでとうございます。
来期への展望
さて、いつまでも優勝の余韻に浸っておらず、おそらく選手達は来期に向け、今日から練習を開始していることでしょう。ということで、早速来期の展望をしてみよう。新入生情報にはあまり詳しくないので、他校に関しても現有メンバーを中心として評価していきたい。
○卒業生出走メンバー(抜けるメンバー)
若松儀裕1区8位・山本浩之2区17位・3区大西智也3区3位・飛坂篤恭7区1位
○在校生出走メンバー
宇野博之4区9位・柏原竜二5区1位・富永光6区12位・千葉優8区2位・大津翔吾9区2位・高見諒10区6位
○補欠メンバー
釜石慶太・横山龍弥・佐藤寛才・川原祟徳
出走メンバーで抜ける4年生が4人というのは割りと平均的なのではないか?往路を務めた宇野、柏原の1年生と飛坂以外の復路の2年生が残るので来期も期待できる方なのではないか。山は登りも下りも健在。特に柏原は他校に3分から5分アドバンテージを得る事ができるので4年連続往路優勝することも可能。黄金時代に突入してもおかしくないだろう。
問題は2区候補がいないこと。正直、柏原以外2区を走れそうな選手がいないのだ。一番の候補は大津選手だが、トラックで5000m14分きり、或いは1万28分台に突入くらいはしてもらわないと厳しいか。復路の9区10区は高見、千葉両選手がいるだけに1区から4区までが問題だろう。彼らのレベルアップや新入生及び今回16人に入れなかった選手たちから誰が伸びてくるか。選手層が厚いだけに来期も期待したいところだ。
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