2009/01/10
箱根駅伝総評~順天堂大学
小野リベンジ以外は見せ場無し
往路18位復路20位
(予想:往路10位復路21位総合17位・区間予想5区間的中→1区2区3区5区8区)
区間、名前(学年)、区間タイム、区間順位、(総合順位)、トップとの差
1区関戸雅輝(3年)1時間7分04秒区間23位(23)2分16秒差
2区山崎敦史(4年)1時間10分09秒区間11位(23→21)6分15秒差
3区山田翔太(3年)1時間7分01秒区間22位(21→23)8分56秒差
4区武田毅(4年)57分25秒区間16位(23→23)11分01秒差
5区小野裕幸(4年)1時間19分56秒区間2位(23→18)8分41秒差
6区岡部寛之(2年)1時間2分10秒区間19位(18→18)10分21秒差
7区村上真(3年)1時間7分12秒区間17位(18→18)12分26秒差
8区木水良(3年)1時間8分04秒区間12位(18→18)13分36秒差
9区仲田篤孝(4年)1時間13分07秒区間17位(18→18)15分27秒差
10区小高悠馬(1年)1時間15分31秒区間20位(18→19)18分55秒差
○総合19位 11時間28分09秒
【優秀選手&感動賞】小野裕幸…昨年の無念を晴らす区間2位
【喝!!】関戸雅輝、岡部寛之…主力が2年連続で失速
5区小野・悔しさ胸に激走!!
走行距離23.4km、標高834mの箱根の山を一気に駆け上るという過酷な5区。過去様々なランナーが苦しみ、フラフラになった選手は数知れず、さすが天下の瞼と言われようもあるコースだ。そんな山中、ゴールまで残り500mでもいまだにしっかりした足取りで進む選手がいた。小野裕幸(順大4年)選手だ。しかし、それは辛い過去があるからこそである。
昨年も小野は5区を任されていた。その時の順大はその前年に優勝しており、ディフェンディングチャンピョンとして臨んだ大会だった。しかし、エースが故障で走れず、箱根経験者が2名しかいない苦しい状態で大苦戦を強いられ、小野に襷が渡る時にはなんと18位。自分が何とかしなければ不味い、そう感じた小野は飛ばした。小野選手自身も大会の1ヶ月以上前から体調不良で食事制限をするなど万全の状態ではなかった。しかし、そうはいってられないチーム状況だった。小野は猛追し、小湧園前では6人抜きで12位まで浮上した。これで順大が息を吹き返したかと思われた。
しかし、天下の瞼は甘くなかった。15km辺りから急激に失速。極度の脱水症状による低血糖だった。それでも懸命に歩みを進める。しかし、前への推進力はほとんどない。最後の1kmを過ぎたあたりから転倒を繰り返す。それでも何度も立ち上がって前へ進もうとするが、両脚が痙攣し言うことを聞かない。そして…残り500m……襷は途絶えてしまった…
あれから1年、昨年の雪辱を果たす時がきた。小野が任されたのは昨年と同じ5区。途中棄権した選手が翌年も同じ年を走るのは史上初のことだった。小野が襷を受けたのは昨年よりも更に悪い23位。小野は徐々に順位をあげて、軽快に登っていく。しかし、昨年のことが頭によぎり、精神的にきつくなる。また、昨年と同様になるのでは……でも、今年は強い味方がいた。それは暖かい声援だった。声援が小野の走りを後押しした。
そして、前回辿り着けなかったゴールに入った。今まで4人しか居なかった80分切り(1時間19分56秒)を果たした。区間賞こそ柏原(東洋)に譲ったが、堂々の区間2位。総合順位も5人抜きで18位まで浮上。低迷する順大に一矢報いる形となった。苦難を乗り越えて最後快走した小野。実業団でもきっと今回以上の活躍を見せてくれるだろう。
相変わらず結果が出ない主力陣
しかし、小野以外は不甲斐ない成績だった。往路に投入した関戸、山崎、山田、また6区を走った岡部は堅並み額面割れだろう。山崎はまあ最下位と苦しい状態で襷を受け取ったし、山田は脚を引きずっていたようなので仕方ないか。問題は関戸や岡部の主力だ。持ちタイムはいい二人なのだが、どうもロードの20kmで結果が出ない。適性もあるのかもしれないが、それにしても箱根予選でも箱根本番でも全くいい所なしとは…。特に関戸は2年連続1区で痙攣し区間最下位。昨年は固唾を呑んで見守ったが、今年は同情の心は生まれてこなかった。チームの中堅を担う選手がこれでは後に続くメンバーもいい走りができるはずがない。結局、小野以外に区間一桁はおらず、区間20位以下も出てしまうという惨憺たる成績。
まあ、IPがなければ箱根に出場できなかったくらいの実力のチーム。総合19位は4つほど順位をあげたので「本番でのノウハウ」というのは多少活きたという見方もできそうだ。ただ、主力の山崎と小野が抜ける来シーズンは非常に厳しそうだ。監督を交代した方がいいのでは?という声も上がっているが、自分もそうした方がいいんじゃないかと感じる。仲村監督も2年前に優勝に導いた監督なので、悪くないが、空気を返るにはそうした方がよいのではと感じる。富士通から高橋健一さんあたりを引っ張ってきたらどうかと思うのだが、どうだろうか。
それにしてもどうしてここまで選手が育たなくなったのだろうか。どうもターニングポイントは83回の優勝にあるような気がする。この時の優勝メンバーの中で2区小野3区松岡4区佐藤5区今井6区清野9区長門10区松瀬と1年生から即戦力として起用されていた選手達。ここに地道にコツコツ伸ばした選手がここに入る余地がなかったし、何とかメンバー入りした選手もみんな卒業してしまったのが不味かったのではないかと思われる。優勝はしたものの、いいサイクルができなかった。しかもごっそりメンバーが抜けたので、ただのセミの抜け殻のようなチームになってしまい、そこからずっともがき苦しんでいると思う。ここを抜け出さないと来年の箱根路に順大の姿はないように思える。
来期への展望
順大が果たして来期出場できるのか、メンバーを見てみたい
○卒業生出走メンバー
山崎敦史2区11位・武田毅4区16位・小野裕幸5区2位・仲田篤孝9区17位
○在校生出走メンバー
関戸雅輝1区23位・山田翔太3区22位・岡部寛之6区19位・村上真7区17位・木水良8区12位・小高悠馬10区20位
○在校生補欠メンバー
唐川和宏・志賀洸介・塩田充・越智健一朗・琴岡義規・的場亮太
……苦しい、これは苦しい。在校生で一番良い区間順位はこれまた昨年のリベンジとなった木水の8区12位。後はみんな区間20位前後。これは予選通過できないどころが、選抜でさえも順大の姿が見れないのではないかと懸念してしまう。やっぱり、関戸・山田・岡部・唐川あたりが相当奮起しないといけないような状態のようである。
後はやっぱり、監督コーチ陣を総入れ替えして新しい風を送り込んで、新生・順大として再出発をした方がいいんではないか。そうでないと来年は増枠はない(でも、今回繰り上げがなかったので何かそのまま続行とかなりそうな気がしないでもないのだが)
ので、本当に通過が危ないと思う。今回、脚が万全でない山田を3区に使わざる終えなかったあたり、補欠メンバーもあまりよろしくなかったのではないか。
果たして、順大が生まれ変わるかどうか、まずは春のシーズンをみてみたい。
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