2009/01/16
箱根駅伝総評~大東文化大学
山だけではなかった!
往路9位復路5位
(予想:往路18位復路10位総合13位・区間予想4区間的中→2区5区6区9区)
復路の方が順位はいいだろうなと思っていたが、ここまでよいとは…。2区終了地点では20位以下の想定だったのが、16位で通過したのを見て、あ、これは順位予想がいい方に大外れするかもと思ったが、総合4位まで浮上するとは…。すごいです
区間、名前(学年)、区間タイム、区間順位、(総合順位)、トップとの差(シードラインとの差)
1区宮城和臣(4年)1時間5分08秒区間9位(9)20秒差
2区清野篤(3年)1時間11分04秒区間19位(9→16)5分14秒差
3区井上裕彬(3年)1時間4分21秒区間5位(16→14)4分45秒差
4区佐藤歩(3年)57分25秒区間16位(14→14)6分50秒差
5区下條誠士(4年)1時間21分10秒区間5位(14→9)5分44秒差(-34秒差)
6区佐藤匠(4年)59分14秒☆区間賞(9→6)4分28秒差(-1分38秒差)
7区若狭聖也(2年)1時間6分11秒区間8位(6→7)5分32秒差(-1分13秒差)
8区土田純(2年)1時間8分16秒区間16位(7→6)6分54秒差(-1分47秒差)
9区久保謙志(4年)1時間12分08秒区間7位(6→5)7分46秒差(-2分29秒差)
10区木村茂樹(4年)1時間12分51秒区間11位(4→5)8分34秒差(-1分19秒差)
○総合4位 11時間17分48秒
【優秀選手】下條誠士、佐藤匠…山の大東復活!
【敢闘賞】井上裕彬…山の手前で大東大を流れに乗せた
【(激励の)喝!!】清野篤…来年は是非区間一桁を
『山の大東』復活!6区佐藤区間賞
今回の大東大で一番目だったのは何といっても『山』だろう。5区6区で見事8人抜きを果たし、一気にシード争いに優位に立ったのだ。
まず5区は2年連続の下條。昨年は故障者が出て急遽走り区間11位。急遽でこれくらいいくのだから、しっかり準備をしてきたら昨年以上のタイムは期待できるという見方はもともとあったのだが、5人抜きは見事。区間順位も5位でOBの佐々木悟の区間6位を上回る成績は誇ってもいいだろう。
また6区佐藤は3回目の山下り。区間順位も11位→6位と右肩上がり。直前の記録会でも好記録を出し、調子は上がってきていた。周りに板垣(帝京)、中村(明大)と登りからハイペースで飛ばすランナーが多かったが、焦らず得意の下りで勝負、見事逆転で区間賞を勝ち取った。山で大東大が区間賞を獲得するのは78回現区間記録保持者の金子以来7年ぶり。これはまた大東大が箱根で取った最後の区間賞でもあった。
予想以上だった平地≪往路編≫
嬉しい誤算(予想した側からみて)は1区から既に始まっていた。1区の宮城が区間一桁発進。宮城はこれまで4区で区間二桁、また大東大は伝統的に1区が苦手。それを考えると上々のスタートである。何より今シーズンずっとよくない成績が続いていた他の4年生にも元気を与えたのではないかと思う。2区は清野。1万の持ちタイムからしてだいぶ苦戦すると思われた。結果的には区間21位だが、それでも総合順位は16位と思っていたより上にいった感がある。まあ、これから大東大のエースとして率いていくのに71分を切れなかったということで激励の喝を入れておいた。今回の戦いをみると必ずしも2区を区間上位で乗り切る必要性が下がるような気もするので一概にはいえないが、それでもこの区間は69分台を走れる走力でなければいけないだろう。次回も2区の公算が高いので、もっと力を付けてほしいと思う。
まあ、2区での失速は最小限に収まった。そしてここから反撃が始まる。3区は上尾ハーフでブレイクした井上。フロックかどうか心配されていたが、そんな意見を吹き飛ばす区間5位の快走。順位は2つあげるに留まったが、反撃の狼煙をあげる走りだった。どうも今回の大東大は予選会の大東大とは違うというのが徐々に感じた人も多かったのではないだろうか。4区の佐藤歩がちょっともたついたが順位をキープし、そして得意の山で大いに暴れまわったのである。
予想以上だった平地≪復路編≫
大東大の上昇は山を終わっても止まらなかった。7区若狭は井上と同じく上尾ハーフでブレイクした選手。実力者安田(明大)に積極的についていき、一時は山学明大とと5位争いを展開。さすがに後半は後れを取ったものの、区間一桁で乗り切った。8区土田は区間16位と苦しい走りだったが、順位アップ。しかもシードラインとの差を引き離す走りだった(てかなぜこの区間順位で貯金ができるんだ、今回の8区は一体どうなってる??)。来年に向けては不満だが、今年とにかく結果を出すのが目的だったので結果オーライである。
そして9区は主将の久保。昨年、途中棄権をした区間だが、それを振り払う快走。区間6位の走りで後ろを気にするよりも前へ前へいく走り。最後は激しい4位争いをする位置まで追いついた。最後はアンカーの木村が中学大との激しいつばぜり合いを制し、最後にシード権を獲得した79回大会以来6年ぶりの4位でゴールした。箱根予選会は10位。従来の参加校であれば予選通過できない位置から大躍進である。
奈良新監督が「過去の経験がマイナスに働き、4年生に負け癖がついている。」と箱根前語っていた。そのためか4年生でも上がってこない選手は容赦なかった。エントリーメンバーから主力メンバー、宮原・住田・中村といったメンバーが外れた。その結果、本当に逞しい選手のみが残った。また今勢いのある井上、若狭らもチャンスをものにした。山は元々期待されてはいたものの、平地がここまで復活したのは奈良監督の意識改革とメンバー選びが本当に上手くいった証拠。ほぼ完璧な襷渡しだったと思う。
来期への展望
といっても、これを続けなければ意味は無い。本当に復活できたのかどうかの判断は来年の成績をみてからである。それでは大東大の戦力分析だ。
○卒業生出走メンバー
宮城和臣1区9位・下條誠士5区5位・佐藤匠6区1位・久保謙志9区7位・木村茂樹10区11位
○在校生出走メンバー
清野篤2区19位・井上裕彬3区5位・佐藤歩4区16位・若狭聖也7区8位・土田純8区16位
○在校生補欠メンバー
濱克徳・高橋賢人・秋山拓平・高関伸・野口聖矢・吉田明広
山と復路の重用区間9区10区がいなくなるのはちょっと痛いかもしれない。いくら大東大でも一気に上りも下りも補欠含めて4人ほど用意するのは果たしてどうか。また、山の順位を更にあげた久保、木村の穴をどうするかというのも課題。2区清野を固定として繋ぎ区間担当した佐藤、若狭、土田のレベルアップが必要だ。
また補欠メンバーにはスピードランナーの濱、昨年8区を走った高橋、予選会を走った秋山、出雲アンカーを務めた吉田と期待のランナーも揃っている。今回の結果で選手の意識も更に代わっているだろうから、次も期待したいところだ。
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