2009/04/11
箱根駅伝総評~明治大学
満身創痍の中、掴み取った43年ぶりのシード権
往路8位復路9位
(予想:往路12位復路18位総合15位・区間予想0区間的中(笑))
やっちまった~~。明大は無理っす。ああ、でも1区鎧坂と5区6区は当てたかったorz 明大の山の2人を当てたのは多分僕だけやと思うんだけど・・・
区間、名前(学年)、区間タイム、区間順位、(総合順位)、トップとの差(シードラインとの差)
1区鎧坂哲哉(1年)1時間4分53秒区間3位(3)5秒差
2区石川卓哉(3年)1時間9分47秒区間8位(3→7)3分42秒差
3区北條尚(3年)1時間4分53秒区間13位(7→10)3分45秒差
4区松本昂大(3年)55分28秒区間3位(10→3)3分53秒差
5区小林優太(2年)1時間23分57秒区間18位(3→7)5分34秒差(-54秒差)
6区中村智晴(4年)59分36秒区間4位(7→7)4分40秒差(-1分26秒差)
7区安田昌倫(3年)1時間5分10秒区間3位(7→6)4分43秒差(-2分02秒差)
8区細川勇介(1年)1時間7分27秒区間7位(6→4)5分16秒差(-3分25秒差)
9区遠藤寿寛(3年)1時間13分55秒区間20位(4→6)7分55秒差(-2分10秒差)
10区卜部淳史(4年)1時間13分10秒区間12位(6→8)9分02秒差(-51秒差)
○総合8位 11時間18分16秒
【優秀選手】松本昂大…故障を抱えながらも意地の7人抜き!!
【敢闘賞】鎧坂哲哉&卜部淳史…最高のスタートダッシュ&ギリギリ踏みとどまった!
【殊勝賞】細川勇介…8区からきついと思われていたが、彼の好走が効いた!
【(激励の)喝】チーム全体…故障を何とか減らしてくれ!!
故障者が多さに定評のある明大。箱根予選では鎧坂・石川・村上欠場、安田が途中棄権、松本昂が故障持ちで走り、ボロボロの9位通過。今回の箱根駅伝でも、東野、松本翔、村上が欠場、松本昂、鎧坂が故障持ちでの出走で、故障明け間もない石川が2区を走るというオーダーとなった。それでも、今回こそ念願のシード権を獲得した明治大学。その軌跡を振り返ってみる。
初めて良い流れに持ち込めた序盤
1区を任されたのは1年生の鎧坂。世羅高校在学中、優勝も経験し、11月末の記録会で1万m28分台をマークしたゴールデンルーキーだ。しかし、箱根予選は故障欠場。20kmはぶっつけ本番となった。しかも直前まで脚の状態が思わしくなかったらしい。そんな状態でありながら、区間3位と81回に復活してからでは1区最高の成績で襷を渡した。まあ、故障持ちで走るのは日大堂本のような事もありうるので、あまりしてほしくないのだが、結果的に最高のスタートを切ることができた。
2区の石川は箱根予選、全日本と立て続けに欠場し、箱根駅伝に出場できるかどうか危ぶまれていた選手である。それでも2区を区間一桁で乗り切れたのはかなり凄いのではないか。元々明大は力を持っている選手が多く、石川もその一人だったが、その片鱗をようやく見たという感じだ。松本昂、安田もあまり彼と変わらない力を持っているので非常に強い。彼らが融合したとき・・・まあ、とりあえず話がそれるのでやめておこう。とにかく2区終了地点で7位。波に乗ったのは間違いないだろう。
3区北條は箱根予選で好走した選手だが、ちょっとピーキングがずれていたか、順位を落としてしまった。しかし、最短区間に回ったエースがやってくれた。全日本でアナに『明大のスーパースター』呼ばわりされていた松本昂が、箱根予選前からあった踵の痛みが完治していない状態で7人抜きの快走。区間3位で区間記録まで後8秒と迫る走り。まあ、松本の実力を考えれば当然の結果なのだが、これまでシード権争いに絡むこともままならなかった事を考えると大きな見所を迎えた。
逃げ切りを図った復路
山登りの5区は本来松本昂が務める予定だったが、上述した怪我のせいで、小林に代役が回ってきた。その小林が区間18位だったのは持ちタイム等から考えても仕方がないところ。それでも83分台で大崩せずにまとめた御蔭で一桁順位で往路順位を終えた。
復路で明大はある作戦に出る。普通に考えると7区遠藤、9区安田というオーソドックスな組み方なはず。ところが、そうはせず6区中村7区安田と前半に勝負をかけてきたのだ。おそらく東野が行けなくなってしまい駒が足りなくなったので、2人でいけるだけ行こうという作戦だったのかと思われる。これがヒットした。
6区経験者の中村は順位こそ浮上できなかったものの59分台で区間4位の好走。7区これまた経験者の安田が区間賞に後僅かという区間3位。この2人でシードラインとは2分作った。2分あったら大きなブレーキをしなかったら一区間で追いつかれるということはそんなにないし、第一流れを作れた事は大きかった。
1年生細川激走&4年生卜部粘走
といっても、故障者などで8区からは駒不足が目に見えていた。西監督でさえ「8区からは厳しい」と言っていた。実は僕はシュミレーションで7区までにある程度貯金を作れるが、8区から失速し9区で捉えられるという予想をしていたしかし、6区7区で作った流れで8区でヒーローが生まれた。1年生の細川が区間順位は7位ながら、2人抜いて4位に浮上。さらに、6区7区2人がかりでシードラインとの差を1分8秒しか広げられなかったのに、細川1人で1分26秒、往路の分も合わせて3分以上の貯金となった。そういえば、昨年も帝京大がシード権を獲得した時は当時1年生の西村が好走し、シード権を手繰り寄せた。やっぱり久々に優勝とかシード権とかとなると、こういうラッキーボーイが出てくる必要があるのだろう。
復路のエース区間9区を任された遠藤が区間20位だったがこれも致し方ないだろう。ただ、一緒に走り出した堀が不調だったのが幸いして、いいペースメーカーにさせてもらえたような感じである。そして、運命のアンカーへ。ここは箱根予選を走った松本翔の予定だったそうだが、これまた故障。4年生の卜部に『平成に昭和以来の明大のシード権』が託されることとなった。
1万mは30分台と決して強いというわけではない。後ろから追い上げる東京農業、山梨学院、中大等後ろから追い上げる大学の選手の方が持ちタイムは上。ひたすら我慢の展開を強いられることとなる。ただ、こういう展開は地道に頑張ってきた4年生には有利だった。終盤、後ろの集団には追いつかれ、順位を落としたものの、総合8位と凌ぎきった。ゴール後、胴上げされ最高の気分だっただろう。かくして、明大は43年ぶりにシード権獲得できたのだった。
まあ、これだけ故障者を抱えながらの状態の中、ようやく潜在能力を発揮したという感じだ。メンツを見るとこの順位で胴上げをしてほしくないのだが、今回は仕方ないだろう。ただ、この順位で終わるチームではない。総合3位以内は狙えるはずである。これには故障者を出さない事が一番だ。故障者でこれまで何度涙を飲んできたことか。首脳陣もそろそろ学習して練習から考え直さなければならないだろう。次はもっと大きな明大旋風を頼みます。
来期への展望
では、来年の展望である。
○卒業生出走メンバー
中村智晴6区4位、卜部淳史10区12位
○在校生出走メンバー
鎧坂哲哉1区3位、石川卓哉2区8位、北條尚3区13位、松本昂大4区3位、小林優太5区18位、安田昌倫7区3位、細川勇介8区7位、遠藤寿寛9区20位、
○在校生補欠メンバー
岩崎耕三、松本翔、岡本考平、久國公也、岸本大直
うん、シード権獲得校の中で一番戦力ダウンが少ないのは何と言っても明治大学だろう。卒業生が僅か2人だけで、4年生に石川、北條、松本昂、安田のカルテット、更に鎧坂、細川という生きのいい若手もおり、戦力はかなり整っていると言えるだろう。だからくどいようだが故障者が出なければかなり強いチームなのだ。2年連続シード権どころか一気に優勝戦線に名乗りをあげることも可能なので、体に気をつけて練習してほしいところだ。
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