2010/01/05
箱根駅伝論評~東洋大学
往路1位復路2位
(予想:往路4位復路2位総合2位・区間予想→1区5区的中)
1区から4区(特に1区)が予想外の健闘を見せて、大幅に計算が狂ってしまった。区間予想を読むのはね~。2区大津になった時点で読めない。10区高見なんて読めない。(ただ、6区市川は当てたかった)
区間、名前(学年)、区間タイム、区間順位、(総合順位)、トップとの差
1区宇野博之(2年)1時間3分02秒区間5位(5)35秒
2区大津翔吾(3年)1時間9分49秒区間10位(5→7)1分28秒
3区渡邊公志(1年)1時間4分49秒区間10位(7→9)3分11秒
4区世古浩基(4年)57分14秒区間4位(9→7)4分26秒
5区柏原竜二(2年)1時間17分08秒区間新☆★(7→1)-3分36秒
6区市川孝徳(1年)1時間0分55秒区間9位(1→1)-2分50秒
7区田中貴章(2年)1時間4分56秒区間賞★(1→1)-4分27秒
8区千葉優(3年)1時間6分56秒区間2位(1→1)-5分25秒
9区工藤正也(4年)1時間12分18秒区間10位(1→1)-5分07秒
10区高見諒(3年)1時間13分06秒区間7位(1→1)-3分46秒
【MVP】柏原竜二…区間2位をダントツに引き離し、2年連続の区間新&往路優勝のゴールテープを切る
【敢闘賞】宇野博之…不安視されていた1区を上位で走り、流れを作る
【殊勝賞】田中貴章…2位以下を1分30秒引き離し、総合優勝を決定付けた
【特別賞】高見諒…2年連続総合優勝のゴールテープを切る
【監督賞】酒井俊幸監督…今年引き継いだチームを2年連続優勝に導く
大混戦が予想された今年の箱根駅伝だが、最大で5分以上差がつく程、
東洋大の強さが際立ちました。その要因は何かと考えたところ、一番は
2年生の3人の活躍が大きかったのではと思います。
代表格は勿論、柏原。戦前から昨年のように一人で何分も貯金するだろうとは言われていたが、予想以上の強さ。5区の2回目はタイムが落ちることがデータ上多く、それに今年は向かい風が吹いており、トップが失速し中盤から一人旅になるという条件。個人的には79分前後と思っていた。が、結果は区間新。公言していた76分台とはいかなかったが、向かい風さえなければ達成はできていただろう。ただ、それ以上に区間2位に4分以上差をついていることが、柏原の強さを引き立てている。最近の箱根ではちょっと考えられないタイム差。もうまるで走力が違う。見た感じも昨年は初々しさがあったが、今年は風格が出てきている感じ。東洋大、いえ、日本長距離界の若きエースになれる逸材なので今後が楽しみである。
それにつられて他の2年生も頑張った。宇野は夏に故障、秋に復帰したものの不安定で、全日本終了時には酒井監督から「20kmは怖くて使えない」と烙印を押されていた。スピードタイプということで1区だろうと思われていたが、ハイペースになった時対応できるのか疑問視されていて、私も1区でやや出遅れるという予想を立てていた。が、終盤までハイペースについていき、5番目で襷リレー。有力チームで先行されたのは早大くらいで、山学、駒大、日体大などには大きく貯金を作る走り。2区以降のランナーを楽にした。影の功労者は彼だろう。また7区田中の働きを忘れてはならない。東洋の7区は前回飛坂が区間賞を獲得しており、ここの穴が地味に響くのではないかと言われていた。が、その7区を全日本でも区間賞を取っていた田中がカバー…どころか他校との比較すると前回よりも良かった。ここで、追いすがる他校に引導を渡したといっていいだろう。
この世代は元気が良く前哨戦で活躍した佐藤、山本、川上など続々と期待できるランナーが出てきている。ひとえに柏原の影響だろう。この世代が上級生になっていく来年以降は更に期待できるかもしれない。
勿論、要因はそれだけではない。前回の復路で、負けるはずの早大に勝った要因は
後半しっかり走るというものだったが、今回も発揮された。
2区大津12位→10位
3区渡邉14位→10位
4区世古10位→4位
6区市川6位→9位
7区田中3位→1位
8区千葉4位→2位
9区工藤12位→10位
10区高見9位→7位
これは1区と5区を除いた、最初のチェックポイントと最終の区間順位がどのようになっているかというものだ。後半スタミナ切れをした6区市川以外は全員区間順位が浮上している。前回、このような走りをさせたのは復路だけだったが、今年は往路から徹底させている。勿論、選手のタイプが元々そうだったというのもあるだろうが、東洋を5区までに差をつけたくても、復路で追い上げようとしてもそうは中々うまくいかないはずである。確実な走りで柏原の脚を引っ張らないようにしたのも勝った要因だ。
そして何といっても、
分厚い選手層である。出雲や全日本で、好成績を残していた
山本、佐藤、川上がメンバー落ち。彼らは元々10人のボーダーライン上だった選手でテスト起用だったそうだ。
調子が良ければあの程度の成績で走れる選手がうじゃうじゃいるという感じ。そこから選ばれている選手はほとんど調子がいいはずなので、失速する選手などいないのだ。実際、世古や渡邉あたりは、ボーダーよりやや下、千葉は今季の調子から無理なのではないかと思われていたが、好走。この
分厚い選手層の中選ばれているので、自信を持って走っている。いわば、
黄金時代の駒大みたいなものだろう。
今回、実力のある高見がアンカーに回ったが、9区までの選手を自信を持って送り出せたからこそ高見を序盤に使う必要が無かった。本当に磐石な態勢だったのだ。
来期への展望
○卒業生出走メンバー(抜けるメンバー)
世古浩基4区4位、工藤正也9区10位
○在校生出走メンバー
宇野博之1区5位・大津翔吾2区10位・渡邊公志3区10位・柏原竜二5区1位・市川孝徳6区9位・田中貴章7区1位・千葉優8区2位・高見諒10区7位
○補欠メンバー(+α)
佐藤寛才・本田勝也・富永光・山本憲二(川上遼平・設楽兄弟・佐久間・大津など)
いやはや、卒業生が2人しかおらず、しかもこのくらいの成績は東洋大の選手層だと軽く埋まってしまう程度の穴。特に往路の出だしが全員残るのは大きく、順調に行けば、柏原に昨年より更に少ない借金で、そして更に柏原で大きな貯金が見込めるというものだ。復路も出だしの市川が更にレベルアップするだろうし、また高見をアンカーに置ける。10人目のメンバー争いも佐藤や本田、富永らの在校生に新人の設楽兄弟など熾烈を極めそう。というわけで、柏原が故障でもしない限り、3連覇の可能性は非常に高い。暫く東洋大の時代が続きそうな雰囲気である。
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